前頭前野を働かせる

私がASDになった原因は、学生時代のいじめでした。生まれ持った遺伝もASDの要素だったと思いますが、私の場合は、いじめ体験によって、ASDが決定的になってしまいました。いじめの後遺症として、トラウマPTSDを持つことにもなりました。

それ以降、私はいわゆるサバイバー脳となり、扁桃体が反応しやすい(キレやすい)脳になりました。私は、公の場でキレたことはありませんが、怒りやネガティブ感情を抑圧してしまい、体に不調を来してしまっていました。昔は物に当たって壊してしまったこともありました。そんな自分自身の過去の反省を活かしつつ、今回は、キレずに、抑圧もしなくて済む、前頭前野を働かせる方法についてシェアします。

 

 

前頭前野とは、外側部は論理(知性)を司っている。

扁桃体とは、感情を司る部位。

 

 

自分の感情と反対の行動を取る。

感情から来る、衝動的な行動を抑える方法です。例えば、激しい怒りを感じる出来事があった後に、目の前に知人がいて何か話しかけられた時に、「へぇ〜そうなんだ〜」や「なるほど〜」と穏やかに相手に返答します。また、いったん、その場から離れたり、ゆっくり両手を上げて伸びをしたりと、自分の感情とは逆の行動を取ります。飲み物をゆっくり1口飲んで落ち着くのも良いと思います。

そうやって、数分ほど経つと、怒りが徐々に収まっていきます。これが自覚できるようになると、グッと自分の気持ちが楽になります。また同じ出来事が起きても、「この怒りはいずれ収まる」と脳が学習しているので、数分待って、怒りが収まるのを繰り返すだけで良くなります。

 

 

体調を整える・充分な睡眠を取る

頭痛や腹痛など、調子が良くない時は、無理せず、ゆっくり休むことが大事です。今は休んだ方が良いという、体のサインを無視すると、体調が悪化することがあります。調子が優れないと感じたら、早めに休んでください。回復した後の方が、仕事や家事・趣味など活動のパフォーマンスが上がるはずです。それに、今は、ただ頭痛のせいで気が立っているだけかもしれないと、気づくかもしれません。

 

 

感情に名前を付けて観察する

怒りを感じたら、「ああ、今、私は怒っているんだな」、悲しみを感じたら、「あんな出来事があったのだから、それは悲しいよね」と、自分の感情に名前を付けて観察します。そうすると、自分のネガティブな感情は妥当なもの(感じて良いもの)だと気づいて、落ち着きを得られます。怒りだけでも、激怒・憤怒など種類があります。あらかじめ、感情を表す言葉をたくさんメモなどして用意しておくと、感情が湧いた時に当てはめやすくなり、自分の気持ちを理解しやすくなります。

 

 

自分が好きなこと・楽しい活動をする

疲れすぎない程度のスポーツをしたり、軽く体を動かしたり、おいしいものを食べる、気になっていた映画を見る、元気になれる音楽を聞く、新しいレシピの料理に挑戦するなど、楽しい活動はたくさんあります。こちらも、自分自身が楽しくなれる活動を、あらかじめリストアップしておくと良いと思います。

五感を使った活動をするのも良いと思います。

嗅覚→アロマの香りを嗅ぐ。好きな食べ物の匂いを嗅ぐ、など。

視覚→自然の風景を眺める。芸術に触れる、など。

聴覚→音楽を聞く。落ち着いたラジオの声を聞く、など。

味覚→おいしいものを食べる、お茶やハーブティーを飲む、料理を作る、など。

触覚→触り心地の良いクッションや枕を用意する。座り心地の良いソファに座る。体を締め付けない、ゆったりとした服装に着替える、など。

好きなこと・楽しい活動に取り組んで、ネガティブ感情から気をそらします。辛い気持ちを味わい続けるのでなく、積極的に楽しい活動を日常に取り入れてください。辛い状況にあっても、楽しめることがあるんだと、気づくことができます。

 

 

今回の、前頭前野を働かせる取り組みは、なかなか気が重いかもしれませんが、ネガティブ感情への耐性を付けることは必要です。これがないと、無気力になったり、やる気が下がったりします。また、感情にまかせて行動すると、人とのトラブルに遭ったり、自分が後悔する選択をしてしまったりすることがあります(過去の私です…)。それに、感情的に行動し続けると、扁桃体の活動が優位となり、自分自身をコントロールしにくくなってしまいます。自分が損をしないために、理性的な判断で行動するんだと、メリット・デメリットで考えても良いと思います。他者を尊重し、自分を大切にして、人生を生きやすくするために、前頭前野を活性化させることを、おすすめします。今回のシェアが、生きづらさを抱える方の参考になりましたら何よりです。